フォトジャーナリスト國森康弘さんのお話を聞きに行ってきました。
場所は小学校の体育館で、
その学校の6年生が全員参加することになっていました。
いのちつぐ「みとりびと」。
これが、一番大きいタイトルです。
「こりゃ、むつかしいかな」というのが、第一印象でした。
小学校6年生に、どのくらい響くのかな。
ただ…
タイトルと一緒に、
身内をみとる少女の素朴な表情が大きく印刷されていました。
写真って、つよいな。
こういうシーンから入れるなら、むつかしくないかもしれない。
「むつかしくても、小学生に知ってほしいことやなあ…」
とも思いました。
國森康弘さんは神戸新聞記者から、
イラク戦争をきっかけに転身し、
フリーのフォトジャーナリストになった方です。
お話の間も、
國森さんが撮影した写真が次々とスクリーンに映されました。
戦争に巻き込まれる子ども。
貧困のせいで命を落とす子ども。
東日本大震災の被災地で家族の遺体を探す人たち。
主題については
20代でガンが全身に転移した男の人とその家族、
小4で天国に召された女の子とその家族、
寿命をまっとうしたおばあちゃんとその家族の、
「あたたかなみとり」が紹介されました。
印象的だったのは、
國森さんが丁寧に言葉を選びながら、静かに語っていたことです。
人の死を取材するのは、とても重い仕事です。
誰かに伝えれば、その影響力は大きいでしょう。
こころへの作用が、よく転ぶこともあれば、悪く転ぶ可能性だってある。
それでも、伝えなければ何も始まらないし、変わらないです。
國森さんの言葉には、覚悟がこめられていました。
小学生って、こういう講演は苦手なんじゃないかな。
私はそう思っていたのですが、
講演の最後に、みんなの前で質問した子がいました。
「國森さんは、どうして記者をやめて、イラク戦争の撮影に行ったのですか」
確か、そんな内容だったように思います。
戦争で人が死ぬ。
ぼくはそれを直接とめることはできない。
写真を撮影して伝えることで、
戦争が子どもたちの命を奪っていることを知ってほしかった。
國森さんは、そんな風に答えていました。
会場を出ると、数人の男子がつるんで、おしゃべりをしてました。
顔見知りの子もいて「おっす」という感じやったんですが、
そのひとりが
「おれ、途中で泣きそうになったわー」と、つぶやいてました。
家では、号泣していた子もいるそうです。
大人が子どもに、何をどう伝えるのか、
「採算ベース」だけではなく、しなきゃならないことがあるなあと
しばらくの間、考えていました。