2019年9月6日金曜日

レモンの木のはなし

久保田です。
夏がやっと終わりました。
これは、今年の夏のはなしです。


















私「四季成りレモンっていうから、いっつも食べられると思ってたのに、ぜんぜん実らないなあ」

🍋レモンの木「…」

私「まあ、この大きさで、葉っぱも数十枚じゃ、無理かあ」

🍋「…」

私「あれっ、なんなんか? レモンの木の下に、黒い粒々がいっぱい、いつのまに??」

🍋「…」

私「まさか、えっ、あっ、あーあ、なにこれ、でっかい幼虫、いつのまに?? この黒いのはフン??」

🍋「…」


















私「なんでえ? レモンの鉢はチョウチョが来ない2階に持ってあがったのに、あーあー、でっかい」

🍋「…」

私「こんなに大きくなったのに、今日みたいな豪雨のなか、捨てんの、この子」

🍋「…」

私「しゃあないよね…このまんまやと、あんたが丸坊主になるもんね」

🍋「丸坊主になるやろな」

私「この大きさやからな…葉っぱ、食い尽くすな」

🍋「この子がサナギになるまで、もたへんかもな」

私「あんたが丸坊主になって、しかも、この子もサナギになられへんかもってこと?」

🍋「可能性はあるな」

私「…」

🍋「この子が食わなくても、そろそろ葉っぱは散るけどな」

私「…」

🍋「もう今かて、この子が食べたいような新鮮な葉っぱは少ないんやで」

私「サナギになるのが先か、葉っぱがなくなるのが先か」

🍋「うん」

私「…」

🍋「よう捨てへんのやろ?」

私「…うん」

数日後















私「ぎゃー!」

🍋「サナギになったで」

私「よかった、丸坊主になる前に」

🍋「ほっとしたわ」

私「チョウチョになれるかな」

🍋「さあな、ちいちゃいサナギやで」

私「羽化でけへんやつもいるらしい」

🍋「そら…しゃあないな…」


数日後

私「そろそろや、どうしよう」

🍋「どうしようって」

私「外に出したら、太陽がきつすぎる」

🍋「葉っぱが少なすぎるからなあ。もろ直射日光や」

私「でも、家のなかで羽化したら」

🍋「虫とり網やな」

私「太陽がきつい間は入れて、マシになったら出して…」

🍋「あんた、虫のことになったら、こまめやねんな」

私「出しっぱなしにしたら、別のチョウチョがくるかもしれへんねんで」

🍋「まーな。もう無理やで。養われへんわ」


数日後

🍋「羽化したで」

私「よかった、よかったわ、無事、チョウチョになって」

🍋「あんな、サナギのなかで、いっぺんドロドロになって、
  チョウチョのかたちになるらしいで」

私「…」

🍋「信じられへんな。あんなちっちゃなサナギのなかで」

私「…」

🍋「なかなか、飛ばへんな」

私「いいよ、ゆっくり飛べば」

🍋「きれいな羽、してるな」



数日後


私「チョウチョが飛んでる」

🍋「…」

私「網戸があるのに、こっちに来ようとしてる」

🍋「…」

私「あの子が、卵を産みに帰ってきたんかな?」

🍋「もう、かんべんして」

私「なかなか実が成らへんから、鉢植えやめて庭に植えようと思ってたんやけど、
    これじゃ、無理かなあ」