久保田です。
夏がやっと終わりました。
これは、今年の夏のはなしです。
私「四季成りレモンっていうから、いっつも食べられると思ってたのに、ぜんぜん実らないなあ」
🍋レモンの木「…」
私「まあ、この大きさで、葉っぱも数十枚じゃ、無理かあ」
🍋「…」
私「あれっ、なんなんか? レモンの木の下に、黒い粒々がいっぱい、いつのまに??」
🍋「…」
私「まさか、えっ、あっ、あーあ、なにこれ、でっかい幼虫、いつのまに?? この黒いのはフン??」
🍋「…」
私「なんでえ? レモンの鉢はチョウチョが来ない2階に持ってあがったのに、あーあー、でっかい」
🍋「…」
私「こんなに大きくなったのに、今日みたいな豪雨のなか、捨てんの、この子」
🍋「…」
私「しゃあないよね…このまんまやと、あんたが丸坊主になるもんね」
🍋「丸坊主になるやろな」
私「この大きさやからな…葉っぱ、食い尽くすな」
🍋「この子がサナギになるまで、もたへんかもな」
私「あんたが丸坊主になって、しかも、この子もサナギになられへんかもってこと?」
🍋「可能性はあるな」
私「…」
🍋「この子が食わなくても、そろそろ葉っぱは散るけどな」
私「…」
🍋「もう今かて、この子が食べたいような新鮮な葉っぱは少ないんやで」
私「サナギになるのが先か、葉っぱがなくなるのが先か」
🍋「うん」
私「…」
🍋「よう捨てへんのやろ?」
私「…うん」
数日後
私「ぎゃー!」
🍋「サナギになったで」
私「よかった、丸坊主になる前に」
🍋「ほっとしたわ」
私「チョウチョになれるかな」
🍋「さあな、ちいちゃいサナギやで」
私「羽化でけへんやつもいるらしい」
🍋「そら…しゃあないな…」
数日後
私「そろそろや、どうしよう」
🍋「どうしようって」
私「外に出したら、太陽がきつすぎる」
🍋「葉っぱが少なすぎるからなあ。もろ直射日光や」
私「でも、家のなかで羽化したら」
🍋「虫とり網やな」
私「太陽がきつい間は入れて、マシになったら出して…」
🍋「あんた、虫のことになったら、こまめやねんな」
私「出しっぱなしにしたら、別のチョウチョがくるかもしれへんねんで」
🍋「まーな。もう無理やで。養われへんわ」
数日後
🍋「羽化したで」
私「よかった、よかったわ、無事、チョウチョになって」
🍋「あんな、サナギのなかで、いっぺんドロドロになって、
チョウチョのかたちになるらしいで」
私「…」
🍋「信じられへんな。あんなちっちゃなサナギのなかで」
私「…」
🍋「なかなか、飛ばへんな」
私「いいよ、ゆっくり飛べば」
🍋「きれいな羽、してるな」
数日後
私「チョウチョが飛んでる」
🍋「…」
私「網戸があるのに、こっちに来ようとしてる」
🍋「…」
私「あの子が、卵を産みに帰ってきたんかな?」
🍋「もう、かんべんして」
私「なかなか実が成らへんから、鉢植えやめて庭に植えようと思ってたんやけど、
これじゃ、無理かなあ」